標本DATA
【種 類】 ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer ♂
【サイズ】 67.9 ㎜
【採集場所】2023年5月16日 17:00
【採集日時】岡山県岡山市東区
【採集方法】Looking採集(クヌギの洞)
【採集者名】Y. K.
岡山市東区にあるちょっとした緑地で、こんな大きなヒラタクワガタが採れるんですね。目星をつけていたクヌギの樹皮裏に潜んでいたそうです。今後も期待できるため、捲れ上がった樹皮を壊さないように、掻き出し棒やピンセット等を使って丁寧に引っ張り出しました。岡山県内にて何十年も採集されているKさんによりますと、東区では数年に1頭採れるかどうかの最大クラスだそうです。活動し始めて間もないためか、大アゴや爪先もシャープで美しい。そして、何より太短い大アゴと、立派な体幅に目が行きます。私が描く理想的な本土産ヒラタクワガタのフォルムでございます。惚れ惚れしますね。
さて、この素晴らしい形状(遺伝)が未来に引き継がれてほしいのですが…少し心配です。外国産のクワガタやカブトが輸入解禁になってから、早くも20年以上が経過しました。今では近所のスーパーやホームセンターでも外国産のクワガタが売られているのを見かけます。誰でも簡単に手に入れることができるのです。困ったことにヒラタクワガタは、簡単に交雑(結婚)してしまいます。一度、外国産DNAが混ざってしまうと、取り返しがつきません(元には戻せない)。
幼いころから慣れ親しんだ本州のヒラタクワガタは格好良い。このフォルム(遺伝)が後世に引き継がれてほしいと心から思います。外国産のクワガタ飼育を反対しているわけではありません。東南アジアに生息しているヒラタクワガタは太くて大きくて魅力的です。ただ、手に入れたら最後まで責任を持って飼育してください。飼育に飽きたからといって、近所の公園や緑地に逃がしてはいけません!
生物多様性の大切さ(SDGs)が謳われて、はや10年が経過しました。この考え(教え)は、多くの方々に少しずつ浸透してきているように感じます。
果てしなく長い年月をかけて維持されてきた、日本産ヒラタクワガタの素晴らしいフォルム(遺伝子)を大切に守って行きたいですね。
Contributed by HIRO
June 24, 2025