標本DATA
【種 類】 ヒラタクワガタ Dorcus titanus pilifer ♂
【サイズ】 68.3 ㎜
【採集場所】大阪府堺市南区
【採集日時】2024年6月3日9:00
【採集方法】Looking採集(コナラ)
【採集者名】Y. R.
私の母校の隣の地区で、こんな大きなヒラタクワガタが今でも生息しているなんて…なんだか嬉しくなりますね。学生の頃、大学の農場で地面を歩行中のヒラタクワガタを拾ったことがありました。果樹やメロンも作っていたため、その香りに魅かれてどこからか飛来したのかもしれません。
さて、私の格好良いヒラタ基準は、体長よりも体幅と太くて短い大アゴです。この個体は、私が最高に格好良いと思えるフォルムをしています。恐竜でいえばトリケラトプスやアンキロサウルスのような重量感が感じられます。
Rさんがお子さんと一緒に採集されました。ちょうどコナラの木を歩行しているところを運よく発見できたそうです。いや運よくと言うのは違いますね。Rさん親子は凄いんです。毎年、クワガタの生態をベースに綿密な採集計画を立ててから挑んでおられます。発生初期のヒラタクワガタは住みよい場所(洞など)を探して、歩き回っている個体が多いのです。力の強い大型個体は成虫になってから、しばらくすると深い洞を占拠します。大きい個体ほど、広くて深い洞に入るため採集が非常に難しくなります。南区には状態の良い緑地が残されていて、3月ぐらいから越冬個体が見られ、5月から新成虫も加わり、6月前半にヒラタクワガタの個体数がピークを迎えるそうです。そうそう、Rさんは昨年(2023年)、驚くほど大きなヒラタクワガタを採集されたそうです。なんと…そのサイズは75ミリ!自然の中で採集できるヒラタクワガタは、どの地域でも68~70ミリが特大ラインだと思います。それが75ミリって…南区はヒラタクワガタにとって最高の生息環境が広がっているのでしょうね。
「大きなクワガタ=自然の豊かさ」
豊かな自然が保たれていると、そこに生息するクワガタの体長は平均して大きくなります。
数年前に聞いた淡路島の友人の言葉が思い出されます…「昔は本当に大きなヒラタがたくさん採れたんだけどなぁ~…最近は60ミリ超えも少ないわ!」
日本全国のクワガタたちが、だんだん小型化する傾向が見られるのは寂しい限りですね。
今後も南区の豊かな自然環境が維持されていくことを心から願いたいと思います。
Contributed by HIRO
April 16, 2025