標本DATA
【種 類】 ノコギリクワガタ(原名亜種) Prosopocoilus inclinatus inclinatus ♂
【サイズ】 68.2㎜
【採集場所】三重県津市美里町
【採集日時】2024年8月4日
【採集方法】Looking採集(クヌギ)
【採集者名】T. S.
三重県津市で採集された大きなノコギリクワガタでございます。本Museumにて何度かお伝えしていますが、どの地域でも70ミリを超える個体は少ないです。Sさん曰く、68ミリを超える本個体は、美里町のフィールドでは、かなり大きいとのこと。
Sさんが通い慣れた雑木林を巡ると、枝先にしがみついている大きな塊を発見!少し高い位置でしたが、湾曲した大アゴからノコギリクワガタだとわかりました。さぁ、手持ちの棒が届かないとなると、木を揺らすしかありません。大型個体の中には、しっかり枝にしがみついて、何度、蹴っても落ちない個体がいます。本個体は軽く振動を与えたら、ポーンと足元に落ちてきてくれました。
「ノコギリクワガタ」、「枝先」と聞くと淡路島の風景が思い出されます。
枝先にノコギリクワガタが鈴なりになってぶら下がっている木を見つけたことがあるのです。それはクヌギではなく、棚田の中腹に立つ1本のアキニレでした。アキニレをご存じの方はわかると思いますが、細い小枝がたくさん張り出す特徴的な樹形を持っています。元からノコギリクワガタの生息数が多い場所なのですが、それにしても凄い数でした。高さ5メートルほどの若木に、赤茶色の塊(ノコギリクワガタのペア)が、ザっと見ただけで20以上はくっついていました。メスが自ら細枝を傷つけて、染み出した樹液を舐めているようでした。あんな光景に出会ったのは生涯一度だけで、今更ながら写真に収めておけば良かった…と思っております。周辺の林で大量に羽化したノコギリたちが、田んぼの真ん中にある1本の木に集まったのだと思います。
本個体も枝先でメイトガードしていたようですが、1ペアだけだったようです。
大アゴの美しいWaveが魅力的なクワガタでございます。
Contributed by HIRO
June 10, 2025