標本DATA
【種 類】 ノコギリクワガタ(原名亜種) Prosopocoilus inclinatus inclinatus ♂
【サイズ】 72.0 ㎜
【採集場所】北海道勇払郡安平町
【採集日時】2024年8月12日 10:00
【採集方法】Looking採集(ハルニレ)
【採集者名】Y. K.
春の北海道に仕事やプライベートで訪れると、自然と森に入りたくなります。ハルニレの林は気持ち良いですね。やわらかな陽射しが林床に差し込み、穏やかな森の香りに包まれる感じ…幸せな気持ちになれます。関西のクヌギ・コナラ林とは、また少し違った気持ち良さがハルニレの林にはあります。特に展葉が始まる6月頃が最高ですね。そんな気持ち良いハルニレの林内で得られた大きなノコギリクワガタでございます。長年、この場所で採集されているKさんからお話を伺うと、本個体より少し大きい73ミリクラスも捕まえたことがあるとのこと。これより更に大きいサイズ…見てみたくなりますね。
安平町に広がる山々では、シーズン初期(7月)にミヤマが多く、後半(8月)にノコギリが増えてくるそうです。気温が上がるほど、ノコギリが優占種になっていくようです。
さて、本個体をじっくり見てみましょう。大アゴの湾曲が素晴らしいですね。腹部(お尻)が大きめで体の厚みもあります。幼虫時代の生息環境(食べ物)が良かったのでしょうね。
昔、大きなノコギリクワガタを自身の手で作出(飼育)しようと頑張っていた友人に、75ミリを超えるノコギリを見せてもらったことがあります。残念ながら…あまり魅力が感じられませんでした。腹部がやけに大きくて、大アゴや頭部が小さいのです。そんな個体を「腹ボテ」と呼ぶようです。栄養過多になると、驚くほど腹部(お尻)が大きくなるんですね。
本個体はバランス良い素晴らしい個体ですが、ちょっぴり腹部が大きいので、栄養一杯の良質な材をたくさん食べて育ったのだと思います。
本個体は、安平町に広がる森の豊かさの証です。
Contributed by HIRO
June 3, 2025